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白馬岳主稜(2012.4.28-4.29)

 この連休は、2人パーティーで白馬岳主稜とする。筆者にとっては、2年前(2010.4.24-4.25)と同じコース、同行者にとっては初見。本年になってからは、御殿場口から富士山に一度登ったほかは(2012.1.15)、単独で何度か八ヶ岳山域などに足を延ばしただけ(2012.1.7-1.8など)。いずれも軽装なので、久々の重装備である。

 4/28(土) 二股から歩くつもりだったが、二股のゲートが開いていて、車で猿倉まで乗り入れられる。5:30頃に猿倉着。駐車車両は15台ほどで、何人かが出発準備中。筆者らもすぐに出発(6:00前)。林道は除雪されていない。30分で白馬尻に着く。
 白馬尻から主稜の取り付きを観察していると、筆者らと相前後して4人パーティーも主稜に向かう。8峰に着くまでに、さらに3パーティーほどと出会う。主稜は盛況らしい。
 この日は快晴。10:00頃になると気温が上がる。風も少しあるので、慎重にナイフリッジを渡るが、ときどき腐った雪を踏み抜いて緊張する(重荷なのでバランスを崩すとリスキー)。3峰直下まで前進して、15:00頃、前回のビバーク場所の少し上で、白馬尻で会った4人パーティーがテントを設営していたので、筆者らも整地してテントを出す(この場所のビバークは、他に1パーティー)。この日の夜は、ときどきテントをあおる風。少し雲がある。

 4/29(日) 気温の低いうちに山頂まで抜けたい。5:30に出発するが、8峰付近でビバークしたパーティーも含め、3パーティーほどと相前後して2峰に着く。
 山頂直下のトレースは、2峰のコルから直上し(50m)、雪庇の3mほど下で右にトラバース(20m)、雪庇の小さいところを越えて山頂に達している。雪が締まっていれば容易そうだが、足元の雪が崩れるとリスキー。直前のパーティーは、雪庇下のトラバースを嫌い、右上に斜めに登り、雪庇の小さいところを直接ねらうライン。ほかに、ガイドパーティーらしい3人は、10mほど右を直上する別のライン・・と、この時刻になると、思い思いのコースで、トレースをつけている。数パーティーが同時に登れるので、順番待ちの時間は軽減されるが、墜落するとロープがクロスして、他のパーティーを巻き込むことになる。
 筆者らは、直前のパーティー(6人)の右上ラインをたどり、筆者のリードで山頂に。持ち込んだスノーバー4本のうち1本(3本はランニング)とピッケルで支点を作り、後続をビレー。9:30前に2人とも山頂に着く。
 すぐに白馬山荘(営業している)に移動、ロープとハーネスを収納し、大雪渓から下山。昼近くになると、雪が腐り、足元が定まらないだけでなく、踏み抜くとひざ上で、非常に疲れる。13:30頃に猿倉着。(2人、テント装備、ロープ9mmx50m他、アイゼン・ピッケル・アイスバイル)



赤岳天狗尾根(2012.1.7-1.8)

 昨秋からは、御殿場口からの富士山2度(2011.11.26、2011.12.18)。そして、燕山荘(2011.12.23-12.24)、八ヶ岳の天望荘(2011.12.30-12.31)と、日帰りハイキングや宴会旅行。富士山の2度は強風だが少雪で歩きやすく、燕岳と八ヶ岳はこの季節らしくない穏やかさと、いずれもコンディション良好。ただ、天望荘泊の翌日、行者から阿弥陀北稜をを登り返そうとするが、岩場で渋滞らしく、途中撤退し(下山中に偶然にN夫妻に会う)、富士見のスキー場に転進・・という事情で、この週は、前週に続いて八ヶ岳。人口過剰を避けるため、八ヶ岳東面からのアプローチ、赤岳天狗尾根とする。ちょうど2年前(2010.1.10-1.11)と同じコースで、ロープを使う場所が限られるので、単独向き。

 1/7(土) 美し森駐車場には他に駐車車両がない。4:15発。月齢では満月のはずだが、この時刻、月は西の空で、山体の東側に月明かりはない。雪は数センチ。足跡は1人の往復分(林道の途中まで)。川俣林道の終点付近で明るくなる。林道から沢に下りると、1mほどの河原石に薄く雪がつき、ときどき氷を踏み抜き・・で、歩きにくい(トレースなし)。7:00過ぎに出会小屋に着く。トレースがないので、あたりまえだが、小屋は無人。
 小休止し、ヘッデンを収納し、ハーネスを装着。すぐに出発。赤岳沢も歩きにくいので、尾根末端近くの適当な草付き斜面を登り、天狗尾根に取り付く。天狗尾根下部は少雪だが、樹林帯上部にくると、場所によってはひざ上のラッセルになる。締まらない新雪なので、労力は大きくないが、雪の乗ったクマザサ斜面は歩きにくく、時間がかかる。
 やがてカニのハサミ。岩には雪がついていないので中央から。30m岩壁は、右側のルンゼが登路だが、締まらない新雪の雪面が不安定で(トレースはない)、自分のロープをループにセットした上に、残置されたボロボロの固定ロープにアセンダーでプロテクションにして登る。大天狗は、右から巻くが、岩は乾いていて登りやすい(短時間なら素手も可で、ロープ不要)。しかし、その先、小天狗の左側の雪面は、雪が締まらず、少し悪い。そして、縦走路の手前、わずか50mほどだが、両側の切れ落ちた雪稜で、胸までのラッセル。16:00頃に、ようやく縦走路に出る。総じて、この日のコンディションは、岩場が良好で、雪面が悪い。
 ここまで誰にも会わず、トレースもなかったが、大天狗付近で往路を振り返ると、岩稜帯の直下に黄色いテントがある。気がつかなかったが、後続パーティーがいたらしい。あとは、歩くだけ。赤岳山頂を越えて、天望荘に入る(17:00前)。

 1/8(日) 県界尾根を下山しようとして、赤岳山頂から夏道を下るが、ダケカンバ帯に入ったところで、胸までのラッセル。単純な下りなら、ラッセルでも問題ないが、県界尾根に乗るためには、急な沢筋を南に少しトラバースしなければならない。あきらめて、頂上小屋まで登り返し、美濃戸口から下山。バスと鉄道で、清里に向かい、駐車場に戻る。(単独、テント装備・・使わなかった、ロープ9mmx50m他、アイゼン・ピッケル)


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